1995(平成7)年10月18日、高瀬秀太郎氏(故人)が私財を基本財産として出捐し、財団法人タカセ国際奨学財団が設立されました。その後、公益法人制度改革に伴い、公益財団法人への移行が内閣府により認定され、2011(平成23)年4月1日に公益財団法人タカセ国際奨学財団と名称変更されて今日に至っております。設立の由来は、海外から我が国に来日する前途有為な留学支援事業を推進することにより、将来を担う若い世代の方々に国際理解、国際協調の機会を育むことが、我が国にとっても、国際平和の観点からもきわめて重要であるという強い信念を、高瀬秀太郎氏が抱いたことによります。その設立者の遺志を受け継ぎ、当財団は、諸外国との友好、親善、ならびに人材の育成に少しでも寄与いたしたいとの願いをもって、海外からの留学生への就学支援事業をおこなっております。
当財団は、その設立以来、高瀬秀太郎氏の遺志に賛同するタカセ株式会社から事業費の多額な支援を受けて奨学事業をおこなってきました。タカセ株式会社は1872(明治5)年の創業以来国際貿易貨物を取り扱い、今日、アジア諸国、アメリカ、ヨーロッパ諸国など、世界各国の物流を通して国際交流を図っております。企業行動指針において社会貢献の一環として当財団への全面協力を掲げ、一層の国際交流の進展に寄与すべく当財団の奨学事業を援助しているものであります。
1923(大正12)年生まれ。出身地東京。1968(昭和43)年、第三代タカセ株式会社代表取締役社長に就任。タカセ株式会社の創業者は祖父の高瀬理三郎。府立五中(現都立小石川高校)から大倉高等商業学校(現東京経済大学)に進学、同校在学中の1943(昭和18)年に学徒出陣で応召、満洲で終戦を迎える。シベリア抑留を経て1948(昭和23)年帰国、高瀬組(現タカセ株式会社)入社。以来、海運貨物取扱業務(港湾運送事業)に従事し、戦後の経済復興のなかで輸出入貿易貨物を取り扱った。1960年代からの海上コンテナ化時代の到来による物流改革にあって海貨(海運貨物取扱)業界の要職を歴任して活躍、1981(昭和56)年には港湾関係事業への寄与により運輸大臣表彰を受けた。1984(昭和59)年に、世界各国のフレイトフォワーダー団体の連合体である国際フォワーダー協会(FIATA=International Federation of Forwarders Association )の世界会議が東京で開催され、同会議の準備委員長となって会議開催の推進と運営にあたり、同会議の成功を導いた。このことが、後日の財団設立の遠因の一つとなった。1986年日本海運貨物取扱同業会会長に就任し、我が国の海貨業を領導した。1988(昭和63)年藍綬褒章を受け、1989(平成元)年タカセ株式会社代表取締役会長就任、1993(平成5)年勲四等瑞宝章を受けた。1995(平成7)年にタカセ国際奨学財団が文部省から設立を許可され理事長に就任した。1999(平成11)年タカセ株式会社相談役となり2010(平成22)年7月25日に逝去、正六位を叙位された。
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